芸術とスタンダール症候群 1~龍安寺の石庭を解明する①

久しぶりの投稿になります。2012年から2014年まで「幸福否定の研究」を連載していました、渡辺 俊介です。今回の連載は、「幸福否定の研究」の続編でもあり、また、幸福否定の一種であると考えられる、芸術作品を観た時に起こる、スタンダール症候群という症状の研究を踏まえて、芸術の本質とは何か?を探るものです。
芸術の研究は2011年から始めているのですが、まだまだスタートラインに立ったばかりの感があります。しかし、独力で進めるよりも、ある程度公開しながら進めるほうが、研究が進みやすいのではないか?と考えたので、内容を公開しながら進めたいと思います。
予定では、下記の順番で進めていこうと考えています。
① 龍安寺の石庭の配置を解明する
② スタンダール症候群の説明
③ スタンダール症候群が出る作品
④ スタンダール症候群が出やすい条件
⑤ 芸術の本質とは何か?
予定通り進むかどうかはわかりませんが、よろしくお願い致します。
ー Φ(ファイ)は「数」ではなく「機能」である(『天空の蛇』/ジョン・アンソニー・ウエスト著 -
芸術とは何か?という研究を2011年以来続けていた私は、芸術的行為のいくつかの条件に気が付いていました。その条件は後述しますが、そのうちの一つ、数の機能的な側面について調べるために、昨年夏以来、エジプトのピラミッドや古代遺跡の本を数多く読んでいました。
古代遺跡は、装飾が少なくシンプルな為、長さや高さ、距離など比率に関する事に注目する事が多くなります。
古代遺跡同様に、有名な龍安寺の石庭も、石と石の距離のみが提示されているだけにも関わらず、深遠な魅力があり、昔から、何かの本質を捉えているのではないか?と興味がありました。(注1)
しかし、比率などは過去に色々な人が測っただろう、また、石のどこを基準にして測ればいいのかわからない、また、そもそも実寸がわからないという事で、特に具体的に測る事を試みた事はありませんでした。
興味はあるけど、手をつけていない状態だった龍安寺の石庭ですが、昨年、『謎深き庭 龍安寺石庭: 十五の石をめぐる五十五の推理』(細野透著)が出ているのを知り、購入し読んでみたのですが、結論としては恣意的な印象があり、龍安寺の石庭の謎が解けたという印象は全くありませんでした。
しかし、思わぬ方向で、この本が重要なきっかけを与えてくれる事になります。建築&住宅ジャーナリストの細野氏は、日本で飛鳥時代から使われてきた、曲尺という道具に注目します。辺が約1:2のL字型の物差しから、龍安寺の石庭は、この物差しの比率が使われたのではないか?と、推測したのです。
(図版引用:『謎深き庭 龍安寺石庭 十五の石をめぐる五十五の推理』/細野透著p40~41)
私自身は、この図を見たときに、確かにおさまりはいいが、どの石にも沿ってないではないか、これでは数度、角度をずらしても成り立ってしまう、と思いました。龍安寺の石庭の本質を解き明かしたとは言えないと感じたのです。
しかし、この本で『日本の庭園美 龍安寺』(監修 井上靖・千 宗室 /撮影 西川 孟』)に野村勘治氏による実測図がある事を知ることができたので、自分で本を取り寄せて比率を測ってみる事にしました。(続く)
注1
私事ですが、6歳から13歳まで大阪に住んでいたのもあり、子供の頃に龍安寺に数回行っています。はじめて訪れたのは小学生の低学年の頃だと思いますが、何か異様な感じと深遠な感じがしたのを覚えています。2011年以降は4回訪れています。
参考文献:
『謎深き庭 龍安寺石庭 十五の石をめぐる五十五の推理』/細野透著
『天空の蛇』/ ジョン・アンソニー・ウエスト著/ 

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