『人間性の否定と虚構の世界』-7/1985年の日航ジャンボ機墜落に関する疑惑②
* 本連載の目的 *
本連載は、一次資料をもとに自分自身の頭で考えるというテーマで書いた『「お金・相場」に関する幸福否定の研究』の続編として位置づけています。
心理療法家の笠原敏雄先生が提唱した、「反応を追いかける」という方法論を使って明らかになった事や、経緯を書いていますが、主張内容は筆者個人のものです。
また、権力者や専門家を批判する内容もありますが、一般大衆の態度や要求も問題にしており、特定の層を糾弾する意図はありません。集団における異常行動の原因となる、幸福否定理論で説明できる心理的抵抗の検証を目的としています。
*大まかな流れ*
『「お金・相場」に関する幸福否定の研究』において、「お金とは何か?」という事に対して、多くの人において抵抗が強い事がわかりました。
その後、「核兵器・原子力」の分野と、「土壌」という分野においても、集団での抵抗がある事がわかっています。
本稿は、「核兵器・原子力」の集団抵抗と、その背景にある社会システムの分析過程という位置づけになります。
* 用語説明 *
幸福否定理論:心理療法家の笠原敏雄先生が提唱。心因性症状は、自らの幸福や進歩を否定するためにつくられるという説。娯楽は難なくできるのに、自らの成長を伴う勉強や創造活動に取り組もうとすると、眠気、他の事をやりたくなる、だるさ、その他心因性症状が出現して進歩を妨げる。このような仕組みが特定の人ではなく人類にあまねく存在するという。
抵抗:幸福否定理論で使う”抵抗”は通常の嫌な事に対する”抵抗”ではなく、許容範囲を超える幸福、自らの成長・進歩に対する抵抗という意味で使われている。
反応:抵抗に直面した時に出現する一過性の症状。例えば勉強しようとすると眠くなる、頭痛がする、など1985年の日航ジャンボ機墜落の疑惑に関して、国、官庁、専門家、報道関係などのいわゆる「権威」の実態と、大衆の側の問題点という視点で書いてみたいと思います。
・飛行中の日航123便の目撃証言において垂直尾翼に異常が見られたとい う証言が非常に少ない。また、専門家の指摘によると、垂直尾翼の破損が墜 落に繋がる事が考えにくい。そのため、垂直尾翼がどのような状態であれ、異常が墜落に繋がったとは考えていない。
・航空経路から機体の操縦はある程度できていた事と、目撃証言による流れ星から撃墜の可能性も考えている。
・御巣鷹山で複数機が墜落している可能性がある。
・政府、メディアが協力して墜落場所に人が入らないように誘導した可能性がある。
・生存者は4名を除き、殺害された可能性がある。
・政府がもっとも気にしていたのは、墜落前後の「光」である。この部分が触れられていない。
・事前準備があった可能性も否定できない。
*決定的な証拠に辿りつかない理由事実を隠す側、追求する側、双方にとって心理的な抵抗(幸福否定理論で言う抵抗)が強い部分があるのではないか?と推測。
はじめに
昭和60年8月12日に発生した日本航空123便の御巣鷹山墜落事故については、航空 事故調査委員会が調査し、昭和62年6月に航空事故調査報告書を公表しました。この 報告書で、事故は、後部圧力隔壁の不適切な修理に起因し、隔壁が損壊したことにより、 胴体後部・垂直尾翼・操縦系統が損壊し、飛行性能の低下と主操縦機能を喪失したため に生じたと推定しています。
これに対し、「圧力隔壁が損壊した場合には、客室内に猛烈な風が吹き抜けるはずで あり、また、室温も低下するのに、生存者はそのようなことはなかったと証言している」 また、「急減圧があったならばパイロットは酸素マスクを付けるように訓練されている のに付けていないのはなぜか」等の疑問が寄せられています。そして、「圧力隔壁損壊 による急減圧はなかったのではないか」、事故原因は圧力隔壁の損壊ではなく、「機体構 造の不良によるフラッタによる垂直尾翼の損壊等が事故の原因ではないか」という主張 や「自衛隊のミサイルが当たって墜落した」という主張も出ています。
これまで航空事故調査委員会においては、ご遺族の皆さまに対して、必ずしも十分な 説明がなされていなかったため、皆さまの123便報告書の内容に対するご疑念に応えてこられなかったことについて、率直にお詫び申し上げます。
(引用:日本航空123便の御巣鷹山墜落事故に係る航空事故調査報告書についての 解説 運輸安全委員会事務局長 大須賀 英郎)
時間の推移から見た事故原因事故前 昭和53年の尻もち事故により損傷した後部圧力隔壁の不適切な修理
→ 同隔壁に疲労亀裂が発生
→ 点検整備で発見されず、疲労亀裂が進展
→同隔壁の強度低下事故直前 → 客室与圧に耐えられず同隔壁の損壊(開口) ( → 開口部から流出した客室与圧空気による尾部胴体の内圧上昇) (→ APU防火壁、APU本体及び尾部胴体構造の一部損壊・脱落) (→ 垂直尾翼・油圧操縦系統の損壊)
→ 飛行性能の低下 、主操縦機能の喪失
→ 事故
(引用:日本航空123便の御巣鷹山墜落事故に係る航空事故調査報告書についての 解説 p1/ 運輸安全委員会)
安藤真之 公述人日本航空株式会社B747型機副操縦士・日本航空乗員組合副委員長
(前略)CVR、DFDRから読み取れる問題点について申し上げます。事故調査報告書では圧力隔壁の破壊に焦点が当てられ調査が進められていますが、もし圧力隔壁の破壊があり機内に急減圧が起これば当然乗員は酸素マスクを着用し、生命の安全が保てる高度まで急降下いたします。ところが、副操縦士、航空機関士ともに酸素マスクは墜落に至るまで一切着用していませんでした。その状況で急降下することなく飛行高度2万フィート以上を約18分間も意識を失う事なく意識を失うことなく操縦しています。
もし、急減圧が起こり機内高度と飛行高度が同じであったならば、酸素マスクを着用していない乗員は5分前後で意識を失ってしまうはずです。しかし、乗員の意識が失われて失なわれていないことに注目しますと、機内は急減圧ではなく一時的な減圧、あるいは穏やかな減圧であったと考えられます。その一時的な減圧、あるいは緩やかな減圧によって果たして垂直尾翼の破壊が起こりえるのだろうか、また破壊の順序で圧力隔壁の破壊が第一であったとするのは誤りではないのだろうかというのが私たちの最も大きな疑問です。
(引用:航空機事故における聴聞会の記録/ 昭和61年6月 運輸省航空事故調査委員会)
清水 馨八郎 (しみずけいはちろう)理学博士 国際武道大学教授・千葉大学名誉教授 元航空審議会委員
(前略:筆者要約・・・山岳地帯を飛行したから衝突したという主旨)直接原因は「墜落」ではありません、「衝突」です。断定する事ができます。これに対して、新聞報道を通じて航空局の事故調査報告書などを見る限り、その追及は、もっぱら第1原因の物理的破壊のメカニズムの解明に終始しているように見受けられます。(中略)私の結論からしますと、機体の破壊メカニズムとか、金属疲労ということは直接関係ない。
(中略)ジャンボの安全神話は崩れていません。(中略)隔壁が破壊し、尾翼部分が事故のもとになったことは事実でありますが、ダッチロールを繰り返しながらも、その後32分という、32分間水平飛行をし、しかも360度方向転換をしております。(中略)今の航空機は尾翼が破壊しても、エンジンがとまっても、かつてフロリダでエンジンがとまって150kmも飛んで、着陸しております。そこに山さえなければ当該機もあと30分以上も飛び続けて、適切な処置がとれたはずであります。先ごろも、ギリシャで米国のトランスワールドが爆弾を仕掛けられて、大きな穴が空いた。それにもかかわらず、無事にアテネに着陸しております。
(中略)昨年は、世界で民間機が、2,000名以上の死者を出す最悪の年でありましたけれども、日航機事故を除く大半は、国際テロ、テロに巻き込まれて、爆弾を仕掛けれらたので、全く人為的な事故で、機体の安全そのものの神話は崩れておりません。(引用:『航空機事故における聴聞会の記録』p95~97/ 昭和61年6月 運輸省航空事故調査委員会)
佐藤 次彦公述人 工学博士 大阪工業大学学長 機械工学科教授
(前略)いずれにしましても、まず、起こった事態の確認をすることが機長としてのその後の最善の行動のために絶対に必要であるということはあきらかであります。(中略)ACC(筆者注:東京管制)に対し「アンコントロール」と報告しながら、さらにACCからも確認を要求されながら、、この事故の実態を把握する努力をほとんど行っていません。(中略)機長は自分自身で「アンコントロール」と連絡した後でも、再度「羽田に戻りたい」と言っております。この状況でJA8119が羽田の滑走路に着陸が可能と判断をしていたのであります。(以下略)(注:以下、羽田に戻るという事と、操縦できるという事はイコールであり、機長の判断ミスだったのではないか。着水か浜松、名古屋に着陸すべきだったのではないか、という主旨の発言。)
(引用:『航空機事故における聴聞会の記録』p64~66/ 昭和61年6月 運輸省航空事故調査委員会)
「事故機の羽田出発から、18時18分38秒までの上昇中の管制交信記録の音声から推測した機長の緊張度は、9段階の4~6の範囲で変動している。この緊張の程度は離陸から上昇という状況下で一般的なものとみられ、この時点で機長が何らかの異常の発生を感知していた可能性は少ないと思われる。(中略:18時24分代の客室乗務員との会話の中で、客室乗務員の声は落ち着いている、という内容)この異常とも思えない客室乗務員の申し出に対応した航空機関士と副操縦士の音声からは、精神緊張9段階点の(5)~(7)という通常の飛行状況下ではやや異常とも思える精神的な高まりを示す値が推測された。このことから、この時点で同運航乗務員は精神緊張度が高まるような何らかの異常の傾向を感知していたとも考えられる。」
(引用:航空事故調査報告書 p87)
安藤真之 公述人日本航空株式会社B747型機副操縦士・日本航空乗員組合副委員長
(前略)CVRの解析方法についてですが、事故調査委員会では解析装置がないと聞いております。今回の解析について「日本航空の施設を使用した。装置をセットして日航の職員は部屋を出た」と会社は私たちに説明しています。事故調査委員会に日本航空出身者が加わっていたこともあり、原因関係者との接し方に公正さを欠いております。また、外国で行われる事故調査では、CVRは生のテープが公開されています。
(中略:生のテープ公開の具体例)しかし、日本における事故では未公開となっており、私たちはCVR記録は、8月27日に発表したものに比べ、時刻、用語ともに大幅に変更され、何が真実であるかさえ疑問です。(中略)早急にCVRテープ、DFDRのRAWデータを関係者に公開していただきたいと思います。(引用:航空機事故における聴聞会の記録 p19、20/ 昭和61年6月 運輸省航空事故調査委員会)
渡利斎水公述人東亜国内航空株式会社機長・日本乗員組合連絡会議議長
(前略)次にCVRの公開について。これはほかの団体からもかなり指摘されましたがけれども、関係者の発表を重ねて要求します。関係者が聞けば非常に参考になるということから、特にこれを要求します。(引用:同上、p81)
この投稿へのトラックバック
トラックバックはありません。
- トラックバック URL
この投稿へのコメント