「お金・相場」に関する幸福否定 10:相場における心因性症状・異常行動-5 ⑤ルールが通用しなくなる(短期的成功と長期的成功の比較)
* 用語説明 *
幸福否定理論:心理療法家の笠原敏雄先生が提唱。心因性症状は、自らの幸福や進歩を否定するためにつくられるという説。娯楽は難なくできるのに、自らの成長を伴う勉強や創造活動に取り組もうとすると、眠気、他の事をやりたくなる、だるさ、その他心因性症状が出現して進歩を妨げる。このような仕組みが特定の人ではなく人類にあまねく存在するという。
抵抗:幸福否定理論で使う”抵抗”は通常の嫌な事に対する”抵抗”ではなく、許容範囲を超える幸福、自らの成長・進歩に対する抵抗という意味で使われている。
反応:抵抗に直面した時に出現する一過性の症状。例えば勉強しようとすると眠くなる、頭痛がする、など
相場:(本稿で扱う意味)
実物・現物・直物取引ではなく、市場における価格変動によって生じる差額で利益を得ようとする投機的取引。(goo国語辞典)
*指標としての反応の使い方の違いのまとめ*
・個人の抵抗が強い領域
個人としては自分の反応を追い、抵抗がなくなった部分を意識上で理解できた部分を形にしていく。
・専門家の抵抗が強い領域
(どの分野でも)ある程度、専門性がある人の集団においては、専門家の中で、不自然に避けられている部分の反応を探る。例えば、当然検証されるべき事が、専門家の著書や論文、インターネット上で全く見当たらない、など。この場合、該当部分を専門家を相手に話をすれば、反応(あくび、眠気など)が出る事が多い。
・専門家、一般人の分け隔てなく全体的に抵抗が強い領域
専門家、一般人の区別なく全体に抵抗があるように思われる事に関しては、個別の反応の調査の積み重ねでは限界があるため、並行して、本稿においての”お金を稼ぐために莫大な時間を使うにも関わらず、多くの人がお金とは何かを知らない”など、明らかにおかしい点を抽出しながら比較検証の精度を高めていく。
①最低限の知識についての勉強ができない
②自分のやり方を確立できない
③自分のやり方を確立しても、その通りに行動できない
④自分のやり方通りにポジションを取っても、精神的に不安定になる。やめてしまう。
⑤自分のやり方を確立し、その通りに行動し、成功した後、ルールが通用しなくなり資金をなくしてしまう。
・情報の遅れや、二つの銘柄の投資対象の買われすぎ、売られすぎ
の差額を取る裁定取引(サヤ取り)
・チャートパターンが機能する分野を見つける
・板の癖を見抜く
・決算(企業業績)
などを挙げる事ができます。
これらは、いわば特定の分野、特定の期間で通用する投資法になりますが、成功すれば短期間に資金が大きく増える反面、手法が通用する期間も短い為、資金管理ができていないと資金を大幅に無くしてしまう事になります。
短期売買、個別銘柄で勝ち続けるという事は、総じて非常に難しいという事が言えると思います。
また、「幸福否定理論」に基づいて考えてみると、“短期的な法則”というのは、普遍性がないという事になるので、いわば“本質から遠い”という解釈もできます。
短期的、部分的な法則性を見つけ、通用しなくなったら他の対象に移るというやり方もありますが、結局は、マーケット全体の資金の動きを把握していないと、どのセクターに資金が移ったのか?、出遅れている対象はどの銘柄か?などが理解できません。
ある程度の普遍性のある法則、マーケット全体の動き(ローテーション)を理解した上での、ある対象に特化した売買は、持続性があり、大きな利益を得る事も可能だと考えています。但し、膨大な時間を必要とするため、現実的には、それだけ時間を費やせる人は限られていると思います。
・現金を保有し続けるよりも投資をしたほうが良い
(不換紙幣とは何なのか?を理解する)
・株式の売買のタイミングを狙うよりも、配当再投資の複利効果のほうが成功確率が高い(代表的文献:『株式投資の未来』/ジェレミー・シーゲル著)
という二点を理解している必要があります。
・ヘッジファンドのような専門家でも、長期で検証するとインデックス投資を上回る事は難しい
(参考文献:『敗者のゲーム』/チャールズ・エリス著
『ウォール街のランダムウォーカー』/バートン・マルキール著)
・長期的に資産を増やすには、売買タイミングよりもアセットアロケーションが重要(参考文献:『ウォール街のランダムウォーカー』/バートン・マルキール著)
筆者注:アセットアロケーション(資産配分)・・・株式、債券、コモディティ を4:4:2と決めた場合、四半期、もしくは半年ごとに、割合の上がった対象を売って、下がった対象を購入し、4:4:2を保つように再配分をする事。
・参入障壁の高い分野の銘柄を貰い、配当を再投資し続ける
・全米株式、全世界株式のようなインデックス投資を続ける
・金(ゴールド)への投資を続ける
・(ここ数年は、金利の低下で成り立たなくなってきているが)債券投資を続ける。
・チャート、値動き(いわゆる通常のキャピタルゲインを目的にした投機の勉強)
・「幸福否定理論」の反応研究
・部分的な技術ではなく、全体的かつ長期の事業計画を持っている、またそれの流れがチャートに表れている企業
・(恐らく抵抗が強い分野であるため)感情的な議論しかなされず、テレビ、新聞報道などでは実態がわかりにくい業界
・二酸化炭素排出で地球が温暖化しているかという事に疑問がある。宇宙線量が関係しているという説がある。
参考文献:『気候変動とエネルギー問題』/ 深井有著
『不機嫌な太陽』/ H・スペンマルク著
・再生可能エネルギーは森林伐採や金属の掘削で、太陽光発電などは原子力発電よりも環境負荷が高いという説がある
(参考文献:『世界の再生可能エネルギーと電力システム 経済・政策編』/ 安田陽著)
・水素エネルギーに関しては、水素を取り出す際に石油を使い、アンモニア燃料などにして、運ぶ際にも化石燃料を使うため、環境負荷という観点で考えても意味がない。
(参考文献:『コロナ後を襲う世界7大危機 石油・メタル・食糧・気候の危機が世界経済と人類を脅かす』/ 柴田明、他 著)
・グリーンエネルギーでは、人類が使用しているエネルギーを賄う事はできない
・製造過程(森林伐採、メタルの採掘など)まで含めると、地球環境に対する負荷はむしろ高い
・コストが高くて成り立たない
・サイバー攻撃に対する対応(太陽光発電はサイバー攻撃に対して強い)
・雇用問題
・資源(特に原油)の枯渇問題
・米ドル基軸通貨に対する利権争い
・原油、石炭、ガス、米ドル基軸通貨の利権勢力(米国共和党、イギリス)
と、
・再生可能エネルギー、米ドル基軸通貨体制の利権を弱めたい勢力(中国、EU)
■権威への服従に関する二つの研究の比較
話が相場チャートの抵抗から少し逸れますが、筆者は「幸福否定理論」に基づく心理療法に関連して、“権威と服従”に関して勉強を続けてきました。
最初にこの点について、問題提起をしたのは、哲学者のハンナ・アーレントです。アウシュビッツ収容所へのユダヤ人の大量移送で処刑された、アドルフ・アイヒマンという人物がいます。
この裁判は、中継もされ、現在でも映像を見る事ができます。多くの人は大量虐殺をした凶悪犯を想像していましたが、アイヒマンは、凡庸な役人であり、ひたすら“上層部の命令に従っただけ”との弁解を繰り返します。
*ミルグラムの実験の条件
(参考:『服従の心理』/スタンレー・ミルグラム著,山形浩生訳,河出書房新社,2009)
信用性を高めるために、実験者(被験者)は学習者(役者)からの質問に答える形でこう宣言した。「電撃はかなり痛いかもしれませんが、長期的な器官損傷はありませんので」(p33)
電撃発生器
(略)
操作パネルは、水平に並んだレバースイッチ三十個で構成される。(中略)スイッチ四つずつをまとめる形で、次のことばにより表記がはっきりと書かれていた。軽い電撃、中位の電撃、強い電撃、強烈な電撃、激烈な電撃、超激烈な電撃、危険:過激な電撃、この最後の区分以降の二つは、単に✕✕✕と書かれていた。(p35)
被害者からのフィードバックループ
パイロット研究では、被害者からの音声フィードバックは使われなかった。制御パネルにある言葉とボルト数での記載だけで、被験者の服従を押しとどめるだけの圧力が生じると考えたからだ。しかし、そうではない事が証明された。学習者からの抗議がないと、パイロット研究のほとんどあらゆる被験者はことばでの表示など一切おかまいなしに、いったん命令されたら喜々としてスイッチを入れていった。(p38)
実験1:遠隔フィードバック版
被験者の声は聞こえず、壁を叩く音だけ聞こえる。
服従被験者の比率 65%。
実験2:音声フィードバック
音声による抗議を導入。被害者は隣室にいるが、その苦情が実験室の壁ごしにはっきり聞こえてくる。
服従被験者の比率 62.5%。
実験3:近接
被害者が被験者と同じ部屋で、被験者から一メートルほど離れたところにいる。
服従被験者の比率 40%
実験4:接触近接
被害者は、第三の条件に加えて次のようなちがいがある。被害者は、手が電撃プレートに置かれているときだけ電撃を受ける。150ボルト(強い電撃)まできたら、被害者はもう解放してくれと要求し、手を電撃プレートに置くのを拒否する。実験者は被験者に対して、被害者の手を無理矢理プレートに置しつけるよう命ずる。
服従者被験者の比率 30%
・人権の重要視
・暴力の減少
・高度な専門情報の一般化
*国立がん研究センターの見解
“「抗がん剤」とは
「この抗がん剤はよく効く」と書いてあれば、おそらく「これでがんが治る」と考えられるかもしれません。しかし多くの場合、そういうことはありません。抗がん剤で治療して、画像診断ではがんが非常に小さくなり、
よく効いたように感じたとしても、残念ながらまた大きくなってくることがあります。(中略)
それでも見た目には著明に効いたようにみえますので、「効いた」といわれるわけです。例えば肺がんの効果判定では、CTなどによる画像上で、50%以上の縮小を「効いた」と判断します。
(中略:下記、引用部分は、思考停止の例として挙げており、抗がん剤全てを否定しているわけではないので、抗がん剤が効くがんは、注3参照)
投与したうちの何%かで効果があり症状が和らぐというのが、前立腺がん、甲状腺がん、骨肉腫、頭頸部がん、子宮がん、肺がん、大腸がん、胃がん、胆道がん等です。効果がほとんど期待できず、がんが小さくなりもしないというがんに、脳腫瘍、黒色腫、腎がん、膵がん、肝がん等があります。”
(引用:国立がん研究センター がん情報サービス 薬物療法(化学療法),2012/11/3,閲覧)”
・投機において自分を高めたい(感情ではなく、合理的な判断をしたい)
・投資において、本質を見極める能力を高めたい(必然的に長期になる)
・資本主義の核心的な部分にあたる信用創造と通貨発行権
・第二次世界大戦以後の核心的な世界のルールにあたる、米ドル基軸通貨体制
・順張り(トレンドフォロー)・・・利益が出やすく、精神的な負担は少ない。但し、トレンド追う事に時間を費やすため、時間的な負担、体力的な負担を強いられる事と、本質的な事に辿り着かないというデメリットがある。
・逆張り・・・例えば近年の金(ゴールド)、製鉄、次世代の原子力発電など5年~10年以上廃れていた対象に、資金が入り始めた事を確認して、買い始める。
より本質的な方向性を確認でき、時間的な負担も少ないが、大多数の投資家の逆に張る事になるので、一次資料を読み解いて考え抜く力を養わないと成功しない。実際に、多くの個人投資家が”ここまで下がったから上がるだろう”という根拠のない逆張りで、損失を出している。
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