『人間性の否定と虚構の世界ー10』/1985年の日航ジャンボ機墜落に関する疑惑⑤

* 本連載の目的 *

本連載は、一次資料をもとに自分自身の頭で考えるというテーマで書いた『「お金・相場」に関する幸福否定の研究』の続編として位置づけています。

心理療法家の笠原敏雄先生が提唱した、「反応を追いかける」という方法論を使って明らかになった事や、経緯を書いていますが、主張内容は筆者個人のものです。

また、権力者や専門家を批判する内容もありますが、一般大衆の態度や要求も問題にしており、特定の層を糾弾する意図はありません。集団における異常行動の原因となる、幸福否定理論で説明できる心理的抵抗の検証を目的としています。


*大まかな流れ*

『「お金・相場」に関する幸福否定の研究』において、「お金とは何か?」という事に対して、多くの人において抵抗が強い事がわかりました。
その後、「核兵器・原子力」の分野と、「土壌」という分野においても、集団での抵抗がある事がわかっています。
本稿は、「核兵器・原子力」の集団抵抗と、その背景にある社会システムの分析過程という位置づけになります。


* 用語説明 *

幸福否定理論:心理療法家の笠原敏雄先生が提唱。心因性症状は、自らの幸福や進歩を否定するためにつくられるという説。娯楽は難なくできるのに、自らの成長を伴う勉強や創造活動に取り組もうとすると、眠気、他の事をやりたくなる、だるさ、その他心因性症状が出現して進歩を妨げる。このような仕組みが特定の人ではなく人類にあまねく存在するという。

抵抗:幸福否定理論で使う”抵抗”は通常の嫌な事に対する”抵抗”ではなく、許容範囲を超える幸福、自らの成長・進歩に対する抵抗という意味で使われている。

反応:抵抗に直面した時に出現する一過性の症状。例えば勉強しようとすると眠くなる、頭痛がする、など1985年の日航ジャンボ機墜落の疑惑に関して、国、官庁、専門家、報道関係などのいわゆる「権威」の実態と、大衆の側の問題点という視点で書いてみたいと思います。

前回は、日航機123便の墜落に関して、この件は事件であると主張している側にも恣意的な証拠の選択があり、日航機の墜落に関して、事前準備の可能性を考えなければならない点については、検証対象とする事を避けているという点について書きました。

主にはノンフィクションライターの方々になりますが、いわゆる「本当のタブーには触れない」というより、「そんなことはあり得ない」という心理が働いていると推測しています。

本連載は、一つ一つの事件の真相究明が目的ではなく、幸福否定理論で言う「心理的抵抗」と、本当の意味での社会構造を理解する事を目的としています。

「心理的抵抗」には個人の問題である「心理的抵抗」と集団が持つ「集団抵抗」があります。集団抵抗とは、古くは、ガリレオが地動説を主張した時に周囲が取った態度、最近では、2020年のパンデミック以降に、根拠を明示しながら、予防接種と人工ウイルスに関して生物兵器の可能性を指摘をした専門家に対して、同業の専門家、報道関係者、一般大衆が「そんな事がわるわけがない。陰謀論者だ」と一蹴したのと同様な態度であると考えています。

日航機123便に関しては「真実を追求する」と主張しているノンフィクションライターだけではなく、被害者側や一般国民も、心理的な抵抗により見えなくなっている部分があります。

結論から書くと、

① 放射性物質と軍事的なネットワーク
② 最初から計画的であるという意味での事前準備という可能性

については、「真実を追求する」と主張する側も検証を避けており、今回は、その点をもう少し堀り下げて考えてみたいと思います。

尚、心理的な抵抗により追求を避けているという事実があっても、その点が事件性が強く疑われる、日航機123便の墜落の直接の原因とは限りません。

例えば、放射性物質に関しては、近年の戦争における劣化ウラン弾や原発事故など、どのような対象であっても、なるべく事実に触れないように扱われます。日航機123便が仮に事件であったと仮定しても、大きな目的の中心に放射性物質が位置するのか、単に付随していた事柄なのかは、より確かな証拠が出てこないと解明できません。

但し、集団抵抗を乗り越えてる努力を続ければ、教育や報道を通じて知った社会構造とは異なる、実際の社会構造が少しずつ見えてきます。

本稿では、日航機123便の墜落に関しての結論を急ぐ事なく、123便の含む、航空機の放射性物質の輸送に関して調べた結果、新たに理解が進んだ社会構造を中心に書いてみたいと思います。

それでは、まず、放射性物質と軍事的なネットワークについて見ていきたいと思います。



=放射性物質と軍事的なネットワークに関する集団抵抗=

日航機123便に関しては、放射性物質に関連して、大きく分けて二つの検証を必要とする対象があります。一つは、現場の放射性物質による汚染の可能性です。具体的には、123便に積まれていた放射性物質と航空機の部品として使われていた劣化ウランに対する検証です。もう一つは、事故の後に、墜落現場の御巣鷹山の地下に建設された発電所になります。

日航機123便には放射性物質が積まれていました。一つは、医療用アイソトープとして積まれていた放射性物質であり、もう一つは飛行機の部品として使用されていた劣化ウランです。

123便を自衛隊による撃墜事件として追求する、ノンフィクション作家や報道機関は、放射性物質について触れないか、あるいは政府見解をそのまま踏襲して簡単に触れる程度の扱いにしています。一例として、青山透子氏は、著書『日航123便墜落事件 四十年の真実』の放射性物質に言及している部分を見てみます。

”墜落直後、「医療用アイソトープから放射能が漏れている」とか、「パラストに劣化ウランが使われていて危険だ」といった情報が流布していた。朝日新聞もそう報じている。(筆者注:1985年8月13日付、朝日新聞)しかし、危険性はなく、事故当夜、医療機関が即座に「問題ない」とコメントを出しているのだ。さらに機体のパラスト、つまり飛行機の安定性を保つためのおもりとして搭載される劣化ウランについては、これは当時のすべての航空機に積まれているものであり、日航123便以前の墜落事故でこれが問題となったことは一度もなかった。加えて「放射能漏れ」という報道から、放射線測定器を持って現場に入った救援隊がいた。独自に放射線を測定した検死医もいた。しかしこの検死医の報告書を読むと、放射線測定器にはなんの反応もなかったという。つまり「医療用アイソトープ」も「劣化ウラン」もどちらも危険ではなかった。そしてこれもまた、墜落現場に人を近寄らせないようにするための方便だったのだと思われる。逆に考えると、日航123便墜落は、そうした緻密な計画が立てられる立場の人間が起こした事件なのである。”(引用:p79~80)

と述べています。

しかし、より自由度が高いブログでは、詳細な検証をしている記事も存在します。

行方不明のウランは、どこへ消えたか

劣化ウランは事故のときどうなったか。結局、回収されたのは装着されていた劣化ウラン重り20個の内、右水平尾翼の4個と左水平尾翼の1個だけで、あとの15個は、いまだに行方不明となっている。科学技術庁では、その行方について次のように言っている。

「回収されていない劣化ウランのうち垂直尾翼の部分に装着されていた12個、約123キログラム については、事故調査委員会の経過報告によると、垂直尾翼の一部は相模湾あたりに落下した可能性があるとされているので、劣化ウランも(これと一緒に)相模湾に墜落していると推定している。また、左水平尾翼部分に装着されていた3個、約45キログラムは、墜落現場付近の密集した山林中に墜落しているのではないかと推定している」そして、尾翼が最初に接触した地点から尾翼の破片が発見された扇状の地域や胴体部分の落下した区域を捜索したという。しかし、「放射線レベルが非常に低い」からこれ以上範囲を広げないとの答だった。

確かに、かれらも答弁しながら首をかしげるように、水平尾翼の不明劣化ウラン重りは、おかしな無くなり方をしてる。水平尾翼は、ほぼ原形をとどめた姿で事故現場で発見されており、尾翼本体からはなれて発見された外側昇降舵も含め、飛散した部品は9割以上回収されている。したがって、劣化ウラン重りだけが行方不明となっている。事故よりちょうど60日後の10月11日、大掛かりな探査と汚染状況調査が行われたが劣化ウ ラン重りは、ついに発見されなかった。燃えていれば救助などで現場へ行った人々への放射能汚染や化学毒性による被毒の可能性が無いとは言いきれない。
(引用:工房”もちゃむら”・1985年のジャンボ機事故と放射性物質)


劣化ウランに関しては、1985年当時と今では情報量が違います。放射性廃棄物の処理という側面と、重くて貫通力があるという側面から、飛行機部品や、劣化ウラン弾として使用されましたが、飛行機部品に関しては、現在では安全性を考慮してタングステンに変わっています。また、劣化ウラン弾に関しては、ユーゴスラビア、イラクなどの戦争で使用され、後遺症が非常に大きな問題となっています。

劣化ウランから飛散したアルファ粒子1つで内部被曝が起こり、疾患も起こりえるという指摘がある事から、内部被曝も含めると、現在の出版物において、墜落現場が安全だと言い切るのは無理があるでしょう。

米国の核実験やチェルノブイリ原発事故における放射性物質の飛散が原因で、ヨーロッパでは土の中で育つトリュフや、土を掘ってそれらを食べる野生のイノシシから基準値を上回る放射性物質(主にセシウム137)が、現在でも検出されています。

また、東日本大震災における、福島の原発事故の影響で、関東地方のキノコ、タケノコや山菜、イノシシなどからも、未だに基準値以上の放射性物質が検出されます。

御巣鷹山においても、劣化ウランの部品が延焼し飛散した場所にもよりますが、水脈などに粒子が入り込めば、健康問題に繋がってきます。

誠心誠意、事故の処理に努めるのであれば、放射性物質の汚染の可能性を徹底的に調査をするはずですが、実際に行われたのは、汚染の調査よりも、費用対効果に大きな疑問がある神流川発電所や、周辺のダム、道路の建設が優先されました。

話を日航機123便に戻しますが、

・日航機123便の部品である劣化ウランが不自然な無くなり方をしている事に関して、触れていない。・「人体に影響なし」という公式発表を無批判に受け入れる。

という二点に関しては、日航機123便の墜落を事件と考えている側も、事件の本質に関係あるかどうかは別にして、触れないようにしていると考えて良いのではないかと思います。


*墜落現場と神流川発電所

次に、ジャーナリストが触れない点として、事故後に建設された発電所について書いてみたいと思います。

以下、青山透子氏の著書『日航123便墜落 遺物は真相を語る』からの引用になります。

(前略)なお通常、試運転(筆者注:青山氏は護衛船まつゆきの試運転中に発射されたミサイルの誤射により、123便の垂直尾翼が損壊との説を主張している)のには開発担当の日系企業の技術者も当然同席するとミサイル開発担当の企業から聞いたが、その旨はホームページにも掲載されている。それらの企業は事故後、急浮上した東京電力の群馬県上野村にある神流川発電所の設計に深くかかわっているのは本当に偶然なのだろうか。さらにこれらの日系企業は原発建設に特に深く関わっており、その後に国に救済を求めても事実上倒産した企業も含まれている。なお、この神流川発電所を見学した際、年に数回位しか稼働していない旨を説明された。東日本大震災のことや原発の運転再開を思えば、御巣鷹の尾根直下に穴を掘って莫大なお金で作ったこの発電所の存在は、一体何なのだろうか。(中略)このダム建設と合せて、御巣鷹の墜落現場付近の山々は数年閉鎖されて慰霊登山ができなかった時もあるが、このダムのために上野村は固定資産税で潤い、御巣鷹の尾根への道路は立派に整備されて、最短距離で行けるように長いトンネルがいくつもできた。(p22~24)

この神流川発電所とダムについては、青山氏が少し触れているだけで、大手の報道機関は全く触れず、日航機123便の真実を追求するという他のノンフィクションライターも取材を重ねている様子はありません。

神流川発電所に関して、何かを隠蔽する意図は全くなく、たまたま日航機123便が墜落した場所が、発電所の目的に適していたという可能性もあります。

しかし、素人目にも費用対効果に疑問を持たざるを得ないだけではなく、遠隔操作のため無人であるというこの発電所を、検証対象から外すという事に関しては、「日航機123便は撃墜された」と主張する側の態度としては、動機を探るという観点から、やはり不自然な態度であるという事ができます。

上記の神流川発電所の件は、軍事産業が関係している可能性がある話です。

筆者自身は、「心理的抵抗」という観点で、社会において「正常」とみなされている人達が、自分達が選挙で選んだ最高権力者の上に、軍産複合体wp軸としたグローバル企業の意思決定や、金融資本の意思決定があるという事を認識という根拠を積み重ねてきています。

それに対して、一般的にはルールを決めるのは政治家でありと認識されているため、政治家に対しては、厳しく批判をする事ができます。

「政治家が行う政治」までが心理的抵抗により認識の限界であるため、本人達は真っ当な批判をしているつもりでも、結果的には批判対象を間違えており、検証が事実の解明の方向に進まない、という結果になります。

一般的に報道や教育などにより認識されている世界と、実態が全く違うという事になりますが、以下に具体例を挙げたいと思います。


=心理的な抵抗が働く世の中の仕組みの実例=

次に挙げる例は、日航機123便の墜落した1980年代当時の放射性物質の輸送から見えてきた、世界の仕組みになります。123便が直接関係しているわけではありませんが、放射性物質の輸送船が沈没した際に判明した、国際的な放射性物質の取引ルートに関する記述になります。

例1:
核燃料物質等の輸送および貯蔵中の事故
(前略)
(4) 1984年8月25日 
ベルギーのオステンデ沖で、六フッ化ウラン(UF6、濃縮度最高0.9%)を充填した輸送容器48Y型シリンダー( 図1 参照)30基と濃縮ウランを引き取って持って帰るための空容器30B型シリンダー( 図2 参照)22基を積んだ貨物混載船モンルイ号がフランスからソ連へ向けて航行中、後方右舷に西独のカーフェリーが激しく衝突した。モンルイ号は約15mの海底に沈没したが、船倉前方部の積み荷の48Y型シリンダーなどに直接の損傷はなかった。 回収作業で29番目のシリンダ容器を引き揚げる際、損傷したバルブからごく僅か(数立方センチ)の非放射性ガス(フッ化水素)が漏えいした。
(以下略)(引用:原子力百科事典 ATOMICA)

筆者がこの記事を最初に見た時、モンルイ号の沈没した当時は東西冷戦時代であるため、西側に属するフランスから東側のソ連に放射性物質が輸送されているという事をどのように理解してよいのか混乱するような感覚を憶えました。

更に放射性物質の輸送に関して調べを進めると、NHK取材班の著書『NHK特集 追跡ドキュメント 核燃料輸送船』に更に驚くべき内容が書かれていました。

・沈没したモンルイ号に放射性物質が積まれていた事を、フランス政府が隠蔽をしたが、環境保護団体グリーンピースの追跡により明らかになった。

・モンルイ号の沈没により、1980年代の東西冷戦中に、西側諸国(少なくともヨーロッパの9か国とアメリカ)とソ連が核兵器開発に繋がる物質の取引をしていた事が明らかになった。

・日本の晴新丸がフランスに輸送したプルトニウムがソ連に運ばれていた。

・当時は、核燃料物質の輸送はウィーンにある国際原子力機関(IAEA)に報告義務があったが、核兵器保有国とされている国は報告義務が無く、どのように取引されていたのかは把握されていなかった。

・船舶では、放射性物質を公にならないように輸送する事が難しいため、航空機による輸送を開発していた。

以上が要旨になりますが、表面的には東西冷戦で対立しているように見せながら、裏では核兵器所有国に見えている国々(注1)が、しっかりと手を結び、自分達に有利な世界秩序を形成していた事が伺えます。更に、元慶応大学助教授(エントロピー論、科学哲学)で原子力問題の著述家でもあった藤田祐幸氏の著作『藤田祐行が検証する 原発と原子力の間』を読み、


・日本政府が秘密裏に核武装計画を進めていた疑いがある事

・中心人物の一人が中曽根首相だった疑惑がある事

・原子力発電所、日本航空、宇宙ロケットから核武装に必要な技術を転用できるように準備を進めていた

という事を知りました。加えて、

「各国の潜在核戦力の運搬手段を考える上で、案外見逃されているのは民間航空機、特に大型ジェット輸送機のもつ能力である。諸外国では当然の事ながら、民間航空機の高性能のものは、平時から緊急時に際して戦時編成への転用を建前としている。(中略)やはり日本航空が七〇年から運行を始める通称ジャンボ・ジェット、つまりボーイング七四七型機では、最高100トン積載が可能で、それを45トン減らせば五、〇〇〇カイリの航続力がある」(『わが国の核兵器生産潜在能力 1968年版 安全保障調査会編』/資料として『藤田祐幸が検証する原発と原爆の間』収録。引用 p151~p153)


という記述も書かれていました。

また『NHK追跡ドキュメント 核燃料輸送船』の巻末収録の取材班の座談会において

日本は米ソにとって敵国か?

加藤青延
初めはアメリカとソビエト、ソビエトとヨーロッパが核燃料の経済取り引きをしているということが大きな衝撃だったんですけども、それが当たり前だと言われた時に、何故だろうと考えた。アメリカやソビエトにとってみれば、本当に核燃料を盗まれるのが怖いのは、核爆弾を持っている国じゃなくて、核爆弾を作ろうと思ってる国だ。むしろもたない国だ。そういうところが怖い。自分たちは沢山持っていますから、少しぐらいウランがどっちに流れようが、それが今の米ソ間の核戦略の中で大きなウエイトを占めない。むしろ、第三世界の国、あるいは日本のように核を持っていない国で高度な技術を持っている国が、そういうものを軍事利用することが一番怖い。そうなってくると、こと核燃料の輸送に関しては、ぼくたちの考えている東西ではなくて、核保有国と非核保有国というもう一つの対立があるんじゃないかというのを感じたんですね。

秦正純
アメリカはこっち側、ソビエトはあっち側という方式が核燃料輸送に関してはまったく正反対だった。日本にとっては、よく考えてみると米ソがあっち側であり、日本が反対側だったというわけ。
(引用:p185)


転換期にさしかかった核燃料輸送

林良久
(前略)今回取材した晴新丸でもあれだけシチめんどうくさい、ものすごい費用でやらなきゃいけない。だけど、あれだけ安全性を当事者は気をつけていたつもりでもモンルイ号の事故がある。それでいてモンルイ号事故については、嘘をつく。ああいう嘘をつかれると、それまでにも事故があったんじゃないかと当然思う。

加藤青延
今度の晴新丸の話だって、軍事衛星まで使って、軍艦までフランスとアメリカのを動員して運んでいる。いくらかかったか分からない。それはどう考えても天文学的な数字ですよ。こんなことがこれから行なわれるというのは信じられない。

河合央夫
あれだけの費用と期間をかけたことを考えると、輸送は何が一番いいかというと、航空輸送が一番いいだろうという感覚を日本の専門家は持ってる。しかし、航空機で輸送した場合に、安全性はどうなのかとか、あるいは日本の空港についた時に法律的な安全性がクリアになっているかという問題がある。しかし、航空機そのものが適してるという感じは確かにあって、カミュ(筆者注:NHK取材班が取材をしていた、プルトニウム輸送計画のプロジェクトチームの暗号名)のスタッフの一部の人が現在は航空機輸送の担当みたいになっている。逆に船から航空機輸送のスタッフに移って研究している。(p192~193)

という内容が書かれています。

核燃料輸送のドキュメンタリーを制作したNHK取材班や、放射性物質の問題に取り組んできた藤田祐幸氏の共通の見解として、

・核兵器保有国と見られている国々(注1)から、日本は核兵器をつくる恐れのある国として認識されている。

・ウランやプルトニウムの輸送に関しては、米ソ冷戦構造関係なく、核兵器保有国と見られている国々で協力して行われてきた。莫大な費用がかかる事、秘密裡に輸送するの事が難しいという理由で、航空機での輸送が研究、実行されていた可能性がある。

という点を挙げる事ができます。

米国は1979年のスリーマイル島の原子力発電所の事故以来、自国で核分裂に関する施設を積極的につくる事が難しくなります。ここからは、筆者の推測になりますが、その後、いわば危険な技術開発は自国で問題にならないよう海外で行い、資金や技術を提供するようになっていきます。代表的なものが、日本におけるプルトニウム生産であり、中国やウクライナにおける生物兵器の開発であると考えています。また、日本やウクライナ、中国などは自ら進んで大国に協力してきた側面があります。そのため、大国との間に、主従関係と協力関係、反目関係が同時に存在する事になります。

また、NHK取材班の核燃料輸送に関する取材や、藤田祐幸氏の文章から

・国際原子力機関(IAEA)のような国際機関が、軍事関係のグローバル企業と核燃料を持つ国の利権を守るために存在しているように見える事。

・核燃料の輸送に関して、企業だけではなく、国家が統治しているはずの軍、警察、官僚機構なども全て協力的である事

を汲み取る事ができ、核兵器の燃料となるウランとプルトニウムを持つ国の国際的な利権のほうが、国家の主従関係より上位に位置しているという事を推測する事ができます。

この構造は、現在でも続いており、基本的には表には出てこないのですが、次のような記事で、一端を垣間見る事ができます。

例2:
UK retakes control of atomic weapons contract from Lockheed Martin, Serco group(Reuters 2020年11月2日)

Britain’s defence ministry will take back direct control of the operations and development of the country’s nuclear weapons from a consortium of Lockheed Martin, Serco and Jacobs Engineering in June 2021, Serco said on Monday.The three companies have managed the entity called AWE Management, which controls the Atomic Weapons Establishment, since 2000, with Lockheed Martin having 51% and Serco and Jacobs holding 24.5% each.

筆者訳:Serco社は、月曜日に「英国国防省は、核兵器の運用と開発を直接的に管理する権利を、Lockheed Martin社、Serco社、Jacobs社から取り戻す予定である」と発表した。3 社は 、核兵器施設を管理する 核兵器機関(AWE Management)と呼ばれる組織を2000年から運営しており、(株式は)ロッキード・マーティン社が 51%、セルコ社とジェイコブス社がそれぞれ 24.5% を保有している。)

上記引用は、イギリスの核兵器システムをアメリカの民間会社であるロッキード・マーティン社を含む3社が管理していたが、イギリスに戻されるという記事であり、筆者自身は2021年のロッキード・マーティン社の第3四半期の有価証券報告書の要約を読んで、イギリスの核兵器をアメリカの民間会社が管理し続けていた事を知りました。

ロイター社の記事は2020年の11月2日に書かれており、米国大統領選の投票日の前日という点も気になります。

この記事をどう読み解くか、という点については、現在では確かな事は言えませんが、以下が筆者の読み方になります。

・米国大統領選の前日に記事が出たという事は、知られたくない事実であり、大手メディアもこっそりと公にする事に同意している。

・その後のロシア・ウクライナ戦争に関連したEU諸国の軍事予算の上昇を考えると、この時点で2022年からのロシア・ウクライナ戦争が世界的に計画されていた可能性がある。

ロシアーウクライナ戦争は、世間一般では、プーチン大統領の暴走により、ロシアな一方的にウクライナに進行したと考えられています。筆者は、この戦争は、より大きな枠組みでの世界的な現状変更の一つに過ぎず、ロッキード・マーティン社からイギリスへの核兵器の権利の変換は、2020年の時点でそのための準備をしていたと考えています。

プーチン大統領が「核兵器の使用」で脅しをかけた2022年~23年にかけて、イギリスにおいて他国の民間会社が自国の核兵器システムを管理している事がわかると、大きな問題になる事が推測されます。

筆者は、新たな虚構の世界を作り出し、経済を回し続けるために戦争が行われると考えています。ロシアと西側社会が戦っているように見えて、実際は裏で手を組んでおり、戦争を続けて経済を回す事が目的であるとの見方をしています。昨今の欧州を始めとする世界的な軍事予算の増加も、最初から計画されていたものであると推測しています。

1985年においても、

・ソ連のゴルバチョフ書記長の登場により東西冷戦の枠組みの変更

・核兵器による支配から、株式取得、条約、規制などによる支配への手段の変更

・核兵器、ロケット、航空機、高速鉄道などが軍事技術と結びつき、経済を回していた時代から、医療、健康分野と地球環境分野に化学兵器、遺伝子兵器などの軍事技術が入り込み、経済を回す時代への転換

という変更があり、映像を駆使したわかりやすい「希望」(宇宙、航空機や鉄道の速さ)と、「恐怖」(冷戦、核戦争)を使っての大衆操作から、一見より耳障りの良い、「健康や地球環境との改善」という大義名分を使っての大衆操作に大きく手法が転換しています。

日航機123便の墜落が事故ではなく、事件であると仮定すると(注2)、日本政府と米国政府、自衛隊、米軍、司法、警察、報道関係全てが協力して隠蔽している事になります。

このような協力体制を考えると、1985年当時に大規模な戦争は起こっていませんが、世界的規模で、より巧妙な手段による現状変更や大衆操作に方法論が変更になったという背景に関しても、考慮に入れる必要があるのではないかと思います。



=まとめ=

ここまで本文が長くなってしまったので、順番が多少前後しますが、以下に要旨をまとめます。

・日航機123便の墜落に関して、事件性を疑い真相を追求している側も、避けている部分がある。それは放射性物質に関する事と、事前準備に関する事である。・日航機123便は放射性物質を積んでおり、飛行機の部品にも劣化ウランが使われていた。劣化ウランに関しては、不自然な無くなり方をしている。仮に日航機123便の墜落が事件だとすると、中心的な位置づけなのか、付随する部分なのかは証拠が出てこないとわからないが、ジャーナリズムはこの点をほとんど追求していない。

・日航機123便の墜落と関係があるかはわからないが、1980年代において、核燃料保有国の間でウランやプルトニウムが融通されており、漏出事故が起こっても隠蔽されていた。また、これらの輸送に民間機を使っていた疑惑がある。これらの時代背景を考えても、放射性物質の件をジャーナリズムが取り上げないのは不自然。

・ジャーナリストは、保身ではなく、(幸福否定理論で言う)「心理的抵抗」により、政府の上に軍産複合体を軸としたグローバル企業があり、その上に金融業界がある事を認識できていない。その構造は現在も変わらない。その「心理的抵抗」を乗り越えた先の証拠が出てこないと検証が進まない。

という事になります。

次回は、もう一つの触れられない点である「事前準備」について書きたいと思います。

注1:筆者は日本における原爆投下は、核分裂の痕跡がない事から、核爆弾のように演出された爆弾だと考えています。そのため、核兵器保有国ではなく、核兵器を保有しているように見える国、という表現にしています。

注2:日航機123便の墜落原因に関しては、様々な見解がありますが、「ジェット燃料による火災であれば、遺体は炭化しない」という点を事件と考える最も重い根拠としています。

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