『人間性の否定と虚構の世界』-5 第1部 HIVウイルスとエイズに関する疑惑③

* 本連載の目的 *

本連載は、一次資料をもとに自分自身の頭で考えるというテーマで書いた『「お金・相場」に関する幸福否定の研究』の続編として位置づけています。

心理療法家の笠原敏雄先生が提唱した、「反応を追いかける」という方法論を使って明らかになった事や、経緯を書いていますが、主張内容は筆者個人のものです。

また、権力者や専門家を批判する内容もありますが、一般大衆の態度や要求も問題にしており、特定の層を糾弾する意図はありません。集団における異常行動の原因となる、幸福否定理論で説明できる心理的抵抗の検証を目的としています。


* 用語説明 *

幸福否定理論:心理療法家の笠原敏雄先生が提唱。心因性症状は、自らの幸福や進歩を否定するためにつくられるという説。娯楽は難なくできるのに、自らの成長を伴う勉強や創造活動に取り組もうとすると、眠気、他の事をやりたくなる、だるさ、その他心因性症状が出現して進歩を妨げる。このような仕組みが特定の人ではなく人類にあまねく存在するという。

抵抗:幸福否定理論で使う”抵抗”は通常の嫌な事に対する”抵抗”ではなく、許容範囲を超える幸福、自らの成長・進歩に対する抵抗という意味で使われている。

反応:抵抗に直面した時に出現する一過性の症状。例えば勉強しようとすると眠くなる、頭痛がする、など


前回は、HIVウイルスがエイズの原因という主流の学説の根拠が乏しいという実態と、政治的な動きにより、科学の世界では主流の説に対して異論を唱える事さえ許されないという現状について書きました。

今回は、「HIVウイルスがエイズの原因ではなく、エイズの治療薬であるアジドミジン(AZT)がエイズ(後天性免疫不全)を引き起こしていた。」というピーター・デューズバーグ博士の主張が、荒唐無稽な説であるのか、検証が必要な説であるのかを、エイズに類似した慢性的な免疫疾患の例を挙げて考えてみたいと思います。

尚、糖尿病など生活習慣病においても、感染症に対して弱くなる病気がありますが、身体の正常な反応として起こる症状は、生活習慣の改善で治るため、免疫不全とは区別します。


=違法薬物=

まず、免疫不全の症状を起こす原因として、多くの違法薬物(いわゆるドラッグ)が、挙げられます。

これらの違法薬物はどちらかと言うと、”依存性”に問題があり、入院などの強制的な措置であれ、摂取をやめる事ができれば、体調は回復に向かうものがほとんどです。



=マスタードガスと抗がん剤=

マスタードガスは第一次世界大戦で使われた化学兵器で、深刻な症状を発症し、戦争においても使用が禁止されています。

マスタードガスは人体を構成する蛋白質やDNAに対して強く作用することが知られており、蛋白質やDNAの窒素と反応し(アルキル化反応)、その構造を変性させたり、DNAのアルキル化により遺伝子を傷つけたりすることで毒性を発揮する。このため、皮膚や粘膜などを冒すほか、細胞分裂の阻害を引き起こし、さらに発ガンに関連する遺伝子を傷つければガンを発症する恐れがあり、発癌性を持つ。また、抗がん剤と同様の作用機序であるため、造血器や腸粘膜にも影響が出やすい。
人体への影響は非常に長く続く。イラン・イラク戦争でマスタード・ガスの被害に遭った民間人は、30年以上経過してもなお後遺症に悩まされている[3]。(引用:WIKIPEDIA)


マスタードガスは白血球の減少や上記の記述にもある、造血器への作用により、抗がん剤へと技術転用されます。

もちろん生物兵器として開発されたマスタードガスを、そのまま抗がん剤として使っているわけではなく、白血病や悪性リンパ腫、小児がんなど有効なものもあります。但し、抗がん剤治療に関しては、日本では近藤誠医師が

・5年という一定期間で考えると、生存率は若干あがるが、それ以上になると抗がん剤治療をしていない患者のほうが余命が長い例がある。
・がんは小さくなっても正常細胞を著しく傷つけるため、他の病気や別のがんを誘発する事例も多い。

という指摘を続けており、包括的に考えた場合にメリットがない抗がん剤治療が続けられているという、大きな問題点を抱えています。

免疫不全から話が逸れてしまいますが、本連載のテーマである「服従」という問題に関係してくる事例なので、抗がん剤治療の実態を簡単に書いてみたいと思います。

「抗がん剤」とは

「この抗がん剤はよく効く」と書いてあれば、おそらく「これでがんが治る」と考えられるかもしれません。しかし多くの場合、そういうことはありません。抗がん剤で治療して、画像診断ではがんが非常に小さくなり、よく効いたように感じたとしても、残念ながらまた大きくなってくることがあります。

それでも見た目には著明に効いたようにみえますので、「効いた」といわれるわけです。例えば肺がんの効果判定では、CTなどによる画像上で、50%以上の縮小を「効いた」と判断します。もちろん、抗がん剤でがんが完全に治るということもありますが、通常「抗がん剤が効く」という場合、「がんは治らないが寿命が延びる」、あるいは「寿命は延びないけれども、がんが小さくなって苦痛が軽減される」といった効果を表現しているのが現状です。もちろんそれで満足しているわけではなく、がんが完全に治ることを目指しています。

化学療法で治癒可能ながん

抗がん剤で完治する可能性のある疾患は、急性白血病、悪性リンパ腫、精巣(睾丸)腫瘍、絨毛(じゅうもう)がん等です。わが国におけるこれらのがんによる死亡者数は、1年間に15,000~16,000人です。
胃がんや肺がんの年間死亡者数は、それぞれ70,000人と50,000人ですから、それらに比べると比較的まれな疾患ということができます。また、病気の進行を遅らせることができるがんとしては、乳がん、卵巣がん、骨髄腫(こつずいしゅ)、小細胞肺がん、慢性骨髄性白血病、低悪性度リンパ腫等があります。
投与したうちの何%かで効果があり症状が和らぐというのが、前立腺がん、甲状腺がん、骨肉腫、頭頸部がん、子宮がん、肺がん、大腸がん、胃がん、胆道がん等です。効果がほとんど期待できず、がんが小さくなりもしないというがんに、脳腫瘍、黒色腫、腎がん、膵がん、肝がん等があります。
引用:国立がん研究センター がん情報サービス 薬物療法(化学療法),2012/11/3,閲覧)

上記の引用は10年以上前の国立がん研究センターの記載されていた、抗がん剤の説明になります。現在は上記の説明文は掲載されていないので、多少古い引用になってしまいますが、使っている抗がん剤自体は大きく変わりません。

白血病のように効果が期待できる抗がん剤であれば、リスクや副作用があっても使用する事になると思いますが、当院に来た患者さんについては、「効果がほとんど期待できないがん」に分類されている膵がんの患者さんにも例外なく(3名中3名)抗がん剤が投与されていました。

脱毛や皮膚のただれ、食事ができない、だるさ、免疫不全など非常に強い副作用を伴うのを間近で見てきましたが、効果がないとわかっている患者さんにこれ程の猛毒を投与をしている医師、何も疑問に思わない患者の双方の倫理や感覚が全く理解できずに正体のわからない異様さを感じ続けていました。

私自身は、東洋医学と心理療法に基盤を置いて施術をしていますが、半数以上の末期がんの患者さんが、2回、3回と抗がん剤を投与されたが、がんが再び大きくなり、医師に「もうできる事はない」と言われてから、来院します。

施術の結果、腫瘍マーカーが下がると、医師は「もうできる事はない」と患者に告げていたにも関わらず、再び抗がん剤を始めようとします。そこで、通常であれば、患者側が拒否するものだと思っていたのですが、驚いた事にほとんどの患者が再び抗がん剤を始めてしまうのです。

がん患者の態度は、「幸福否定理論」を研究する動機にもなり、後に、がん患者の特徴として「権威に弱い」「自己主張をする事に非常に強い抵抗がある」「(自身の病気に対して)現実を直視せず、軽く考える傾向がある」という特徴がある事がわかっていました。

最近では、更に一歩理解が進み、「自分自身の感覚や、自身が持っている内部の力に全く関心がない、もしくは信用していない」、「自分自身より強い存在、外部の力を盲信する」という傾向がある事がわかっています。


=新型コロナウイルス、mRNAワクチンにおける脂質ナノ粒子(lipid nanoparticle)=

2020年に新型コロナウイルスの流行という、人類史の中でも大きな意味を持つであろう出来事が起こりました。私の施術院の患者さんも、ほとんどの方が、2021年より、mRNAワクチンを複数回接種しました。

施術に来る回数が多い、ガンの患者さん、間質性肺炎の患者さん、心臓病の患者さんなどはワクチン接種の回数を重ねても、大きく体調を崩す事がなかったため、2021年の段階では大きな問題が潜んでいるとは考えませんでした。施術が血栓や免疫抑制の予防に役に立っていたと判断できる材料でもあるため、その点は良かったのですが、「自分の周辺が無事であれば良い」という考えでは済まない問題に発展している事が明らかになってきます。

2021年末から2022年前半にかけて、腰痛などでたまにしか来院しない、年輩、中年層の患者さんに、帯状疱疹や原因不明の炎症系の症状が目立ちはじめました。また、40代での脳梗塞の発症例もあります。また、親族にも心膜炎、ガン、腎臓の機能低下の症状などが出ました。


2023年になると、外出自粛要請が解除されたため、オミクロン株に感染する人が急激に増えました。また、若者のワクチン接種率は低下しましたが、年輩者は回数を重ねていきました。その結果、風邪が治らない、常在菌である溶連菌の感染症、ヘルペスなどの症状、様々な炎症症状、咳喘息の様な症状が長引く、歯科治療中に抗生物質を飲んだら顔が腫れる、などの免疫系の症状と、視力低下、だるさ、痺れ、言葉が入ってこない、物忘れ、集中力の低下など血栓が原因と思われる症状が頻繁に見られるようになりました。

テレビ、新聞などでは、これらの深刻な有害事象をほとんど取り上げないようですが、書籍やインターネットを中心に、体内に血栓ができる、免疫抑制(免疫が働かない)という問題が起きている事例が報告されるようになりました。

後から知る事になるのですが、当時、mRNAワクチンに関して、脂質ナノ粒子(LNP)が非常に危険である事を、一部の正常な倫理感を持った専門家が指摘していました。その後、有害事象の報告が増えるにつれ、公的機関もこっそりと認める状況になっています。

「裸のmRNA」からなる安全な新型コロナウイルスワクチンの開発に成功〜ナノ粒子製剤化していない「裸のmRNA」が全身性の副作用を伴わず強力な免疫を誘導できることを世界で初めて実証〜

現在使われている mRNAワクチンは脂質性ナノ粒子(LNP)などの殻でくるまれて投与されているが、そのLNPが副次的有害事象を発生させている可能性が高い。(以下略、LNPを使わないmRNAワクチンを開発したとの内容)(引用:公益財団法人 東京都医学総合研究所 WEBサイト)

専門家ではないので、詳しい説明は難しいのですが、簡単に脂質ナノ粒子の説明を書いてみたいと思います。

長年の分子生物学の研究により、細胞間のコミュニケーションが、細胞外小胞により行われている事が明らかになりました。イメージしやすい例で例えると、細胞同士が情報交換のために手紙のやり取りをしていると考えます。手紙に書いてある情報がRNAやDNAで、脂質が封筒という事になります。

細胞外小胞は総称で、エクソソーム(micro RNA, messenger RNA, DNAなどの核酸を含む)、マイクロベクシル、アポトーシス小体に分けられますが、エクソソームが運んでいる情報を人為的に操作しようと開発されたのが、mRNAワクチンとなります。

脂質ナノ粒子は、脂質が粒子を内包しているという事なので、もともと人体にある仕組み、科学的に研究され人工的につくられたもの、どちらも該当します。

危険性が指摘されている脂質ナノ粒子は、mRNAワクチンで実用化された、人工的に造られたものになります。

また、mRNAワクチンだけではなく、新型コロナウイルスに関しても、血栓や免疫抑制の問題が指摘されています。

mRNAワクチンのみを、血栓、免疫抑制の原因と考えると、mRNAワクチンを打っていない中国でマイコプラズマ肺炎が流行するなどの、集団免疫の異常と思われる現象を説明する事ができません。

新型コロナウイルスについては、2025年1月の段階で、米国などが公式に、武漢株が人工ウイルスであるという報告書を出しています。

また、オミクロン株に関しても、通常のウイルス変異と考えると極めて不自然である、と、人工ウイルスの可能性示唆する、田中・宮沢論文という強力な論文が出ています。


(NPO法人言論責任保証協会 / 田中・宮沢論文解説(オミクロン株起源)

当初は、mRNAワクチンと人工的なウイルスは別物であると考えていましたが、RNAウイルスとエクソソームは基本的には同じ構造をしているため、新型コロナウイルスが人工的につくられたウイルスであるとすると、LNPの仕組みを応用している可能性も考えられます。(但し、自然界にはエクソソームとは別の仕組みのウイルスも存在するようです。)

また、ワクチン接種者の側にいると症状が出る、シェディングという現象の報告もありましたが、これはこれで別の作用の仕組みを検証しなければならないので、併せて調べました。

以下は、私が最も参考にしていた荒川央氏のnote記事の引用になります。

シェディングの症状で多く耳にするのは月経不順や不正出血などの生殖系の異常です。そして、皮膚症状、頭痛、関節痛、下痢など。報告される症状はある程度共通しており、具体的なものが多く、一概にその全てが気のせいや勘違いまたは捏造だとは言えなそうです。そしてシェディングの症状を訴えるのはワクチン接種者ではなくて非接種者です。したがって、ワクチン接種者が社会の大半を占める現状においては、シェディングを感知し得る人自体が少数派という事になります。
(引用:note掲載記事『シェディング体験談募集』/ 荒川央著)

また、「【雑談を撮影】井上正康(大阪市立大学名誉教授)×村上康文(東京理科大学名誉教授)」という動画で、

井上:従来の医学常識では考えにくいが、接種した人から他人へ行くというシェディングという症状を訴え井上る患者さんがたくさんいる。患者さんがいるという事は、我々の医学常識をリセットして、学ばなければならない。

村上:第一三共の新しいmRNAワクチンの実験で、放射性同位元素でLNP(脂質ナノ粒子)を標的しているが、呼気から放射性同位元素が検出されている。ナノ粒子そのものなのか、放射性同位元素で標的されたものが出てきているのかはわからないが、(危険性が)否定されるまでは、実用化をやめるべき。いみじくも、第一三共の実験がシェディングの証拠となる。

という内容の会話がなされています。筆者が調べたところ、

3.4 T168-1857aの分布、代謝、及び排泄 

ラットに[14C](筆者注:放射性同位元素)標識 T168-1857a (筆者注:カチオン性脂質)を含む LNP-mRNA(mRNAはEGFP) を単回筋肉内投与後、放射能濃度は投与部位の筋肉で最も高く、次いでリンパ節及びリンパ液、さらに脾臓、 肝臓、及び副腎においても比較的高い放射能が認められ、それ以外の組織では血液と同等かそれ以下の濃度であった。放射能は投与部位の筋肉からリンパ経路を介してゆっくりと吸収され、血流に到達した一部は脾臓や肝臓に取り込まれ、これら組織における放射能濃度の減衰は緩やかであった (~168 時間)。また、 168 時間までに、 投与した全放射能のうち 2.8%が尿中、 13.3%が呼気中、 6.8%が糞中に排泄され (トータルで 22.9%)、 多くの放射能 (75.0%)が体内に残存した (主に投与部位筋肉及びリンパ節)。最も高い放射能が残存した筋肉内では、T168-1857a に加え、 2ヵ所のエステル結合の片方又は両方が加水分解された代謝物が認められた。
(引用:2.4 非臨床試験の概括評価 SARS.CоV.2 mRNA ダイチロナ筋注 /独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)

という研究結果が出てきました。
(2/1 第一三共の一次資料が閲覧できない旨の文章を訂正)

放射性同位元素を標識に使う事は以前から行われており、それ自体で危険性を訴える事はできません。しかし、国民の8割以上がワクチン接種をしている状況が今までにない事、また、呼気から放射性同位元素が検出されている報告がある事、シェディングという報告事例が後を絶たない事から考えれば、これらの事例を無視するという事は、通常の倫理観や安全基準をもとに考えるとあり得ない事になります。

新型コロナワクチンの副反応は発熱が主でしたが、シェディングに関しては、急性、慢性、両方の炎症が起こっているような印象を持ちました。もちろん、荒川氏が募集したシェディング症状の体験談が、シェディング症状があるという事を断定する証拠にならない事については承知をしています。

その上で、シェディング体験談の症状が、発熱、だるさが主であったワクチンの副反応とは違うため、異なる仕組みでシェディング症状が発生している可能性があると考えています。

呼気として放出される放射性同位元素がシェディング症状の原因になっている可能性を調べた結果、元ウォータールー大学教授のミヒャエル・パルマー博士が書いた、mRNAが放射性物質様の症状を引き起こすと主張している記事を見つけました。

パルマー博士は、標識として使用する放射性同位元素を問題にしているわけではなく、脂質ナノ粒子をつくる際に用いられる、カチオン性脂質と呼ばれる核酸をカプセル化した人工物が放射性物質様の症状の原因であるとしています。

複数の専門家がmRNAワクチンの有害事象の原因としているのは、脂質ナノ粒子であり、放射性物質は、

・脂質ナノ粒子の有害事象と症状が似ている
・mRNAワクチンの実験において、標的として使われている放射性物質が呼気から排出されているという報告がある

という事になります。

mRNA、新型コロナウイルス、シェディング症状と、話が複雑になったので、以下、簡単にまとめます。

・mRNAワクチンの有害事象については、人工的な脂質ナノ粒子が関係している可能性が高い。また、脂質ナノ粒子をつくる際に用いられるカチオン性脂質が放射性物質様の症状を引き起こすという指摘がある。

・新型コロナウイルス感染症については、米国政府の公式見解にあるように人工ウイルスの可能性が高い。脂質ナノ粒子と人工ウイルスは同様の仕組みである。(但し、カチオン性脂質については、ワクチンのみで指摘されている。)

・シェディング症状については、症状の出方が感染症やワクチンとは違い、呼気から放出されている放射性同位元素の影響の可能性を指摘する意見があった。但し、放射性同位元素は通常、標識として実験で使われるものである。

という事になり、それぞれにおいて免疫症状が引き起こされています。

日々の臨床においても、放射性物質そのものが有害事象を引き起こしているのか、脂質ナノ粒子の放射性物質様の症状の区別をする必要があったため、過去にあった放射性物質における健康被害について調べてみました。


=放射性物質の被曝=

放射性物質の被曝に伴う免疫不全の症状に関しては、本稿では、放射性物質が原因の症状という事がはっきりしている、ビキニ諸島での水爆実験の被害や、チェルノブイリ原発事故の資料を参考にします。(注1)

まず、急性症状の参考例として、1950年代に米国が行った、ビキニ環礁での水爆実験の被害者の症状から見ていきたいと思います。(注2)

「症状の最も直接のあらわれは血液中の白血球、血小板、赤血球の減少に認められる。白血球は全員を通じて種々の程度に減少し、しかも入院後に著名になっている。特に数名においてはその程度は著しく、1000個(一立方ミリ中、以下同じ)前後を上下した。

赤血球も同じく総員において減少し、右の数名においては一万~三万台を示す時期が続いた。赤血球も減少の傾向を示したが、これは直ちに行った輸血により悪化せしめずに終わっている。

これらの血液所見は勿論骨髄における造血障害に基づく。‥‥‥即ち血液学的には急性又は亜急性の汎骨髄癆(筆者注:はんこつずいろう)の状態と診断される。‥‥‥一般症状の上でも前記数名においては三九度に及ぶ発熱し来し、又時々鼻血、歯ぐき出血、皮下出血等の出血傾向を認め、常に予後に対する危惧を抱かしめた。(四月二三日発表、第五福竜丸平和協会編『ビキニ水爆被災資料集』東大出版会)」(引用:『もうひとつのビキニ事件』p55~56/高知県ビキニ水爆実験被災調査団編)

次に、慢性症状になりますが、米国における放射性物質の廃棄による被害、(参考:『ヒバクシャ・イン・USA』/ 春名幹男著)、ビキニ沖水爆実験、チェルノブイリ原発事故、湾岸戦争における劣化ウラン弾などに関する報告があります。

これらの例に関しては、染色体異常、ガン、心疾患、甲状腺の異常、血液、免疫の異常など多岐に渡る症状が知られていますが、低線量被曝、内部被曝に関しては、

・長期に渡って病気が進行するため因果関係の立証が難しい事
・政治的な隠ぺいが行われる事
・被害者が差別を恐れて症状を公にしない

などの理由で正確な症状の把握が難しいと言えます。

その中でも、チェルノブイリ原子力発電所の事故後の調査(注3)がもっと信頼性があるため、免疫不全に関係する研究結果を引用してみたいと思います。

免疫系の疾患

過去数年に渡ってウクライナ、ベラルーシ、およびロシアで実施された数多くの調査研究における成果の1つは、チェルノブイリ由来の放射線が免疫を抑制しているという明白は所見である。(中略)
リンパ系、すなわち骨髄、胸腺、脾臓、リンパ節、そしてバイエル板は線量の高低を問わず、チェルノブイリ由来の放射性降下物の電離放射線によって強い影響を受けている。その結果、各種のリンパ球の量や活性度が変化するため、抗体(各種免疫グロブリン)、幹細胞、血小板の産生にも変化が生じる。こうした免疫系破壊の帰結として、免疫不全に加え、急性および慢性の疾患や感染症の頻度と重症度が高まるが、これはチェルノブイリの放射能汚染地域で広く認められるところである。放射能汚染によって生じるこの免疫抑制は「チェルノブイリ・エイズ」として知られている。
150本ほどの科学出版物の検討を踏まえると、被爆後の免疫系の病態においてもっとも重要な役割を果たしているのは、胸腺機能の低下だという結論が導かれる。(以下略)(引用:『チェルノブイリ被害の全貌』p82 / アレクセイ・V・ヤブロコフ他 著)

以上が放射性物質の被曝における免疫不全の概略になります。

被害報告を見る限り、放射性物質の被害においては、細胞分裂が活発な子供において、より深刻な影響がある事がわかっています。新型コロナウイルスの後遺症、ワクチンの有害事象、シェディング症状については高年齢ほど被害が大きいため、現時点は放射性同位元素そのものの影響ではなく、未解明の原因か、専門家が指摘する脂質ナノ粒子近辺の影響の可能性のほうが高いという印象を持っています。

免疫不全から少し話が逸れてしまいますが、『チェルノブイリ被害の全貌』には、チェルノブイリ原子力発電所から未だに放射性物質が漏出し続けている事、被害者が年々増えるづけている事、他の動植物や土壌にも甚大な被害が出ている事など、衝撃的な内容が書かれていた事を付記しておきます。


=まとめ=

以上、免疫不全を起こす原因として、違法薬物、マスタードガスと抗がん剤、新型コロナウイルス、mRNAワクチンにおける脂質ナノ粒子、放射性物質の被曝、を見てきました。

免疫不全の事例を検証してみると、人工物が原因で免疫に異常をきたした例が多く、レトロウイルスが長期の潜伏期間を経て細胞の免疫機能を破壊し、宿主を死に至らしめるという理論の正当性は極めて疑わしい事がわかり、ピーター・デューズバーグ博士の説も十分に検証されなければならない説であると考える事ができます。

これらの事から、

・歴史的に見て、長期に渡る免疫不全の症状は人工的に開発された物が原因となっている事が多い。

・上記の違法薬物以外の人工的に開発された物で免疫不全が起こった場合、隠蔽される傾向があり、専門家も機能しない。

・軍事的な技術との結びつきが強い程、政治家、専門家が論理破綻した主張を続け、一般大衆も見て見ぬふりをする傾向がある。

・技術開発が進めば進むほど、有害物質の体外排出が難しくなり、被害が深刻化し、広範囲になる。

という事が言えると思います。

かつて、「感染症の原因は微生物である」と主張する、ルイ・パスツールと「感染症の原因は宿主の状態である」とするアントワーヌ・ベシャンの激しい対立がありましたが、「外部の力を利用して問題解決をする」という専門家、患者双方の欲求に基づき、医学界はパスツールの見解に追随する方向に進みました。

宿主の状態、いわば免疫が人工的に開発された技術によって傷つけられてきた可能性があるわけですが、80年代までは一部地域の問題であり、他人事で済ます事ができました。

しかし、2020年以降は、分け隔てなく、人類全体が加害者であり被害者という立場になりました。

これらの現象における専門家や一般大衆の態度や、背景にある考え方については第三部で詳しく検証したいと思います。

次回は、1985年に起きた日航ジャンボ機墜落の疑惑について書きたいと思います。

注1:
東日本大震災における福島の被害に関しては、長年に渡る健康状態のデータが出る前に、mRNAワクチンの接種やコロナ感染があったため、実態を掴むのが非常に困難な状況になっています。

また、広島、長崎の原爆投下の被害者に関しては、ミヒャエル・パルマー博士が『偽装された原爆投下』で指摘した通り、皮膚のびらんなどの症状もある事から、マスタードガスが使用された可能性も高いと考えています。また、後の日本の学者による土壌分析の結果、ウラン235が核分裂を起こしたはずの広島から核分裂を説明できるウランが検出されず、プルトニウムが検出され、長崎においては、爆心地から3km離れた西山貯水地から原子爆弾由来ではなく、後の核実験由来と推測される放射性廃棄物としてのプルトニウムが発見されています。原子爆弾は核分裂しておらず、後から放射性物質を散布したために、内部被曝をしたという事になりますが、原爆症と言われる症状の由来がはっきりしないという別の問題が存在する疑惑があるため、本稿では放射性物質由来の免疫不全の資料としては、扱いません。

注2:
水爆は核分裂ではなく、核融合の技術が使われているとされていますが、本当に核融合が起きていたのかはわかりません。但し、核融合の起爆として核分裂のエネルギーを使っており、その際に放出された放射性物質による被害という事ははっきりしているので、放射性物質の参考資料として扱います。

注3:

『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』/ アレクセイ・ヤブロコフ 他、著)
『チェルノブイリ原発事故 ベラルーシ政府報告書』/ /ベラルーシ共和国非常事態省チェルノブイリ原発事故被害対策局/編
『チェルノブイリの長い影』/ オリハ・V・ホリッシナ著)

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