幸福否定の研究 3~5 幸福否定に興味を持つことになった経緯

■ 幸福否定の研究 3 幸福否定に興味を持つことになった経緯1(2012/6/4)
~不思議な患者さんたち~

私が最初に修業に入った東洋医学系の治療院は、院長先生が気功もやるということで、半分以上が癌の患者さんでした。病院がお手上げになった末期癌の患者さんが多いので、どうしても改善率というのは低くなりますが、それでも何人かは、順調に腫瘍マーカーの値が下がっていき、抗ガン剤や放射線治療で弱っていた身体も回復していきました。

ところが、ここで大きな問題が出てきます。化学療法で改善せずに、代替医療をはじめたのに、また抗ガン剤などの化学療法をはじめてしまうのです。医師は化学療法が効いたと思ってますから、再開しようとします。
その時点で、患者は断るはずなのですが、

“言い出せなかった”
“断れなかった”
“お医者さんが一生懸命やってくれるから”

など、自分の命を優先せずに、”一生懸命やってくれる相手に悪い”という事で、自分には効かないとわかっている治療を受けしまうのです。

私自身が担当した末期癌の患者さんは、骨髄から、眼底、脳、胃と転移しており、視力低下(ほとんど見えない)、頭痛、食事が満足に摂れない、その他身体の痛みなどの症状がありました。

何回か施術し、頭痛の軽減、視力もある程度回復し、体調もかなり良くなりました。

この時点で、癌が小さくなったのかはわかりませんが、頭痛の軽減と、視力が良くなってきたことから、検査をして癌が小さくなっていれば、改善する可能性があるかもしれない、と期待をしていました。ところが、ある日”やっとホスピスの順番がまわってきたから入らなければいけない”と、患者さんから話がありました。ホスピスには入らなければいけないが、体調は良くなっているので施術は続けたい、と言うのです。ホスピスは交通の便の良いところにはないので、往復するだけで一日かかってしまいまいます。とても出張療法で行ける距離ではありません。

“希望者が多いなら、逆にキャンセルしても迷惑にはならないはず。もし、当院の施術に手ごたえがあるならホスピスをキャンセルして、施術を続けてみてはどうか?”という主旨の事を話しましたが、”ホスピスのキャンセルは申し訳なくて絶対できない”の一点張りで、結局ホスピスに入ってしまいました。
この件に関しても、私自身としてはどうにも理解し難い経験でしたが、その後、何度か同じような経験をすることになります。

後々、幸福否定の勉強をしてからわかった事ですが、”自分より他人優先”というのが癌の患者さんの特徴だからです。

三分の二程の癌の患者さんに当てはまる性格的傾向ですが、

・自分のために何かをする(癌を患った場合は自分のための治療)事が難しい
・権威に対して弱い(逆に見ると、自己犠牲的に見える)

という特徴があるようです。

インターネットを観ると、癌の治療経過を細かく記述し、亡くなった後に自分の失敗を役に立ててほしい、というようなサイトを観る事ができます。他の病気ー例えば、脳卒中や心疾患、他の臓器の疾患の患者さんが、”自分の失敗を役に立ててほしい”という目的で、経過を書き続ける事はほとんどありません。

本来ならば、自分の失敗例を後世に残す時間があれば、治った人の例や、他の治療法を探す事に時間を使ったほうが良いだろうと考るでしょう。しかし、それが癌にならないタイプの人と比べると、極端に難しいと推測できます。

これらの件が、私が最初に患者さんの行動や治療選択に興味を持つきっかけとなりました。

(続く)
補足:そんなに簡単に癌は小さくなるのか?

癌が小さくなるという前提で書きだしているので、そもそも、
そんなに簡単に癌が治るのか?という疑問を持つかもしれません。
私の経験では、癌を得意にしている”名人”と言われる治療家、施術家は、
思ったよりも数は多い、という印象です。
(但し、それでも10人に1人以下)

しかし、小さくなる、というところまではできても、”完治”(その後、放っておいても再発しない状態)は非常に難しいと言わざるをえません。”がんが小さくなった””がんが消えた”という話も聞くけど、”再発した”という話もよく聞きます。幹細胞が癌化した場合、いくら自然治癒力や免疫力があがっても、癌化した幹細胞自体は修復できません。
・がんが小さくなる現象は一般の人が思っているよりも起こりやすい

・がんを完治させることは一般の人が思っているよりも難しい

というのが代替医療(の中で、ある程度の成績をあげている治療家、施術家)
の現状だと推測します。

補足2: 癌治療における、西洋医学と代替医療

上記の文章は抗ガン剤治療、放射線治療全般に否定的な文章に見えますが、化学療法全体を否定する意図はありません。癌の種類によって、化学療法の効き方が全く異なるようですが、必然的に病院でうまくいかなかった癌患者が代替医療に来ることになり、そこでうまく治療できたのに、一度失敗した治療を”断れない”という理由で受けなおすのは、通常では考えにくいという主旨です。

尚、慢性白血病については、薬価の問題があるようですが、癌を押さえる薬が開発され、また、肝臓癌のラジオ波治療などは、私のような代替医療従事者からみても、代替医療よりは確実なのではないかと思います。

また、代替医療を受ける際にも、”名人”を探すのが難しい事と、再発は伏せて寛解は宣伝するなど、病院ほどしっかりしたデータを出さない点も問題があります。

但し、自分に合う治療家、施術家を見つける事ができれば、辛い副作用に悩まされる事なく痛みをとったり、うまくいけば癌を小さくすることもできるのではないかと思います。

■ 幸福否定の研究 4 幸福否定に興味を持つことになった経緯2(2012/6/11)
~不思議な患者さんたち~

次の例も10年以上前に経験した患者さんの例の紹介です。(注1)

20代で精神分裂病と診断された(注2)40代の男性は、うつ症状で休職、復職を繰り返していました。うつ状態で何度目かの休職中に、あと一カ月で復職しないと仕事を辞めないといけない、と、後がない状態でご家族に連れられて来院しました。
数回の施術で、思ったより早く改善がはじまり、約2週間後には動けるようになり、一ヶ月後には無事に復職をしました。精神分裂病という診断も20年前の診断なので、もう一度病院を変えて診断する事になりました。予想通り、精神分裂病ではないだろう、という事になり、ご家族や親せきの方々にもようやく理解をしてもらえた、と喜んでいました。
私も、経験も浅かったので予想以上に早く改善して良かった、仕事を辞めずに済んで良かった、これでしばらくは普通に働けるだろう、と思っていました。

ところが、もう大丈夫だろうと思った数ヵ月後から問題が起き始めます。会社の鍵を無くしたり、書類を紛失したりと何回かトラブルを起こし、あっさり会社をやめてしまったのです。

幸福否定をしらなかった私も、健康になった途端に会社を辞めてしまうとはどういうことだろう?と唖然としたのを覚えています。

ここで、

病気で苦しんでいた時には、よほど頭の働きが悪いにも  関わらず紛失などのトラブルはなかったこと

致命的なトラブルではなく(注3)、始末書程度のトラブルなのに自ら会社を辞めてしまったこと

と不思議な点が2点あります。

①のような症状は、紛失するものが限定されるという特徴があります。

この場合は、”会社”、”ほどほどに重要”という条件に当てはまるものだけ、紛失(厳密には置いた場所の記憶を自ら消してしまう。
置いた時はしっかり片づけているので、たいていは引き出しの中などから出てくる)することになり、重要度の低いものは対象になりません。

また、②のように、休職、復職を繰り返していた20年では、自ら会社を辞めるような事は一度もなかったのに、始末書で辞めてしまうのは、どういう基準なのだろう?と、傍から見ると理解できない事が起こってきます。

この患者さんは、その後数年に渡り(注4)、うつ症状に関しては再発せず、就職しては辞める、という事を繰り返す事になります。

(続く)

注1:プライバシー保護のため細部を変えさせて頂きます。
注2:私は医師ではないので診断する立場ではありませんが、休職しながらも20年仕事を続け、普通の会話ができる(話の筋が通る)ので、個人的には精神分裂病という診断は疑問です。もし、本当の精神分裂病であれば、簡単に寛解するものではないので、私の施術で良くなるという事もなかったと推測します。但し、普通のうつ病の患者さんとも違うので、何らかの人格的な問題は抱えていると思われます。
注3:幸福否定で起きる紛失の場合は、置いた場所を忘れる事が多いので、後で出てくる事が多く、この例も結果としては社内で慌てたというレベルで、致命的な問題にはなっていません。

注4:身内の方が来院していたので、後々の様子を聞くことができました。”数年に渡り”というのは、身内の方が来なくなって以降はわからないので、このような表現にしました。

■ 幸福否定の研究 5 幸福否定に興味を持つことになった経緯3(2012/6/18)
前回までは、”まさかこういう展開になるとは…”という一般的ではない例を書きましたが、今回はもう少しわかりやすい、症状の交代について書きたいと思います。

施術をしていると、患者さんが治して欲しいという症状が軽減すると、別の症状が出てくる事があります。最も経験するのは、喘息とアトピーを両方患っている患者さんにみられる“シーソー現象”という現象です。

アトピー性皮膚炎と喘息の両方の疾患を持っている患者には、“シーソー現象”と呼ばれる、症状の交代現象が見られることが多い。つまり、どちらか一方の症状が好転すると、もう一方は悪化するのである。このふたつの症状はいずれも外から変化が見えやすいため、このような現象が観察されやすいわけであるが、本質的には、他の心因性疾患でもそれと変わるところはない。

腰痛や頭痛や腹痛のような自覚症状であれ、多食や家庭内暴力や出社拒否のような行動異常であれ、過敏性大腸症候群やアレルギー性鼻炎や胃潰瘍のような心身症であれ、それが多少なりとも治まれば、今度は別の病気が出るようになるのである。

心身医学では〝症状の交代〟として知られているこのような現象からすると、心因性疾患では、短期的に見る限り、一定の大きさの症状を作り続ける意志というか必要性がそこに存在することがわかる。
(引用:心の研究室WEBサイト ”好転の否定という現象”)

アトピーが軽減すると、喘息が酷くなり、喘息が軽減するとアトピーが酷くなるというのは私も何度か経験しました(注1)
その他、一般的にわかりやすいのは出社拒否、登校拒否などです。この場合は腹痛であろうが、頭痛であろうが、だるさであろうが症状は何でも良いが、何かが消えると何かが現れるという特徴があるのと、勤務時間(や学校の時間)を過ぎて、夜になると症状が軽くなるか、消えてしまうことが多いという特徴があります。
また一見筋骨格系の症状に見えるものでも、“腰痛は軽くなったが、今度は首が痛い”などの症状交代も頻繁に経験します(注2)

上記の例のような症状は、医師でも簡単に見抜けるので、“精神的なものでしょう” “ストレスでしょう”、またはもう少し踏み込んで“自分で病気をつくっている”などと言われる事もあるようです。

ただし、“幸福否定”という発想がない事と、原因をストレスに求めてしまうところに大きな違いがあります。

(続く)

注1:ある患者さんは、喘息が軽減してきた頃から、施術をしたあとに喉がかゆくなるアレルギー反応が出るようになりました。同時期に、喘息が出ていた時間帯にアトピーのかゆみも出るようになりました。

・必ず“施術数時間後”に起こる

・改善がはじまってから、かゆみが出るようなる。(最初の数回の施術では出ない)

・クレームを言いながらも、施術を受けに来たり、キャンセルをしたりを繰り返す(全体的には改善している)

などから、恐らく幸福否定に基づく、改善する事への否定の症状だと考えています。また、徐々に肌が綺麗になりだしてから、施術の日になると患者さんが熱を出して来れなくなってしまったという経験もあります。

注2:筋骨格系の施術後に他の場所が痛くなる場合には、身体的な好転反応のケースと心因性の好転の否定のケースがあります。好転反応は、施術により身体のバランスが変わるので一時的に他の場所が痛みますが、放っておけば痛みは消え、スムーズに改善していきます。好転の否定の場合は、腰であろうが首であろうが”仕事中のみ”痛くなる、などの状況や時間帯に応じて症状が出たり消えたりします。一番わかりやすい例は、大事な試合の前になると、必ず”どこかが”痛くなるスポーツ選手のような例でしょう。

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