「お金・相場」に関する幸福否定 3:信用創造②
ソ連崩壊直後、ルーブルが破綻した時に、タバコが通貨の代わりとして使われたと言います。
このような状況の時、誰が一番得をするでしょうか?
おわかりだと思いますが、タバコ業界になります。
タバコ屋は、通貨としてのタバコを使って、いくらでも買い物ができます。
さらに、タバコ屋はタバコを仕入れなければいけませんが、タバコ会社はタバコをどんどん作ってしまえば、通貨としてのタバコも使いたい放題になります。
タバコ会社が持っている権利が通貨発行権になります。
特権を手にしたタバコ会社(A社)は、他のタバコ会社(B社、C社)に真似されないように、どのようにすれば良いかを考えました。
そして、”最も生活に必要なもの”を自分達の領域として、他の製品は他のタバコ会社にも権利を与えたほうが、長期に渡って利益を得られると考え、
・街のガソリンスタンドでは、A銘柄のタバコ以外の物をガソリン代金として使ってはいけない
というルールを、“暮らしの安定のため”という理由で徹底させます。
また、他のタバコ業者が不満を持ち、抗争になっては共倒れになってしまうので、A社は、他の銘柄のタバコ業者や暴力組織には、
・B社、C社は自社のタバコを自分の町内の通貨としてのみ使用して良い
・B社、C社の町内に他のタバコ業者や暴力組織が入ってこないように、我々が守る。
・他の町内との商取引には、我が社のタバコを買って取引すること。
という提案をし、“地域の安全を守る”という大義のもと、約束を取り付け、特権を維持し続けます。
これが、一般的に言われている“還流する仕組み(筆者注1)”です。
A社以外のタバコ業者も、他の町との商取引にはA社のタバコを使わなければならないので、A社のタバコを購入します。
自社のタバコと交換するわけですが、A社の言う事を素直に聞いていれば、B社のタバコ2本でA社のタバコ1本と交換できます。
A社の言う事を素直に聞かないC社は、自社のタバコ3本でA社のタバコ1本と交換できます。
また、A社の言う事を聞かなくても、C社の暴力組織がA社と同じように強くなれば、A社のタバコとC社のタバコの交換は1対1になるかもしれません。
これがタバコレートという事になります。
このような仕組みによって、暴力組織の強さを維持しながら、A社のタバコの価値を下げないようにします。
“アメリカの基軸通貨特権が継続できるように、石油消費国に対して、石油代金は米ドルでしか受け取らないことを
サウジアラビアが実践・継続し、また他のOPEC諸国にもルールとして守らせる。(引用:『金(ゴールド) 新時代への架け橋 / 高橋靖夫著 p192)”
”71年に金・ドル交換を停止し(ニクソン・ショック)、変動相場制に移行した際、ドルの国際基軸通貨としての地位を維持するために、サウジアラビアに対し原油価格の引き上げを認める一方、あらゆる国が必要とする石油(ペドロ)をドルのみで取引する体制を構築してきた。(引用:『エコノミスト 2018/11/27号』 柴田明夫 文 p22)
【イランが原油代金をユーロで決済、ドル依存低下へ】ロイター、2016年2月8日07時00分
経済制裁を解除されたイランが、同国産原油の代金をユーロで決済するよう求めることが分かった。インドなどの未払い代金もユーロ建てで回収する方針。ドルへの依存低下が狙いという。
【中国、原油先物が上場 人民元建て】2018年3月26日日本経済新聞
【上海=張勇祥】中国で26日、人民元建ての原油先物が上場し、取引を開始した。2017年に世界最大の原油輸入国になった中国は、自国の需要動向を国際価格に反映することを狙う。原油取引の大半がドル建ての現状に、くさびを打ち込む思惑もある。
【イラン経済打撃 中ロ依存に傾斜へ】日本経済新聞 2018/8/30
【ドバイ=岐部秀光】11月に復活する米のイラン産原油をめぐる制裁で、イラン経済は大きな打撃を受ける。イラン経済はアラブ諸国に比べれば経済の多角化が進んでいる。それでも販売収入が歳入の半分以上を占めるなど、なお大きく原油に依存する。(中略)イランは米の制裁を気にかけない中国やロシアへの依存を強めそうだ。
中国は今年、上海で人民元建ての原油先物取引を開始した。中国は「ペトロ人民元」の育成に野心を燃やしているとされ、人民元建てでの輸入を増やすとみられる。自身が有力な原油・天然ガスの輸出国であるロシアは、イランからいったん原油を引き取り、それを第三国へ輸出する取引を提案しているもようだ。
【ウォールストリートジャーナル】By Justin Scheck and Bradley Hope
2019 年 5 月 30 日 13:49
米国の同盟諸国は、米ドルに依存しない代替システムをつくることで、国際貿易に関する米国の管理に抵抗しようとしている。その誘因となったのは、昨年、米トランプ政権が2015年に結んだイラン核合意から離脱した後、イランに対する貿易制裁措置を復活させたことだ。英国、ドイツ、フランスは、イランの銀行とのドル建て取引禁止を含むこの制裁措置を支持していない。このため、これら諸国は、自国企業がドルを使わずにイランと取引できるようにするため、システムを微調整している。
この投稿へのトラックバック
トラックバックはありません。
- トラックバック URL
この投稿へのコメント