心理療法の目的

“感情の演技”という方法で、自虐的な行動や症状の原因となっている”抵抗”の力を弱め、各自が持っている能力や本心を素直に発揮できるようにすることが目的です。
結果として疾患が改善してきますが、心理療法はあくまで各々が多かれ少なかれ持っている人格的な問題点(幸福否定)を克服していくことにあります。

心理療法の進め方

当院の心理療法は何回来なければならないという決まりはありません。
1 おおまかなやり方を覚えるまでに3時間くらい。(細かい注意点の説明)
2 感情の演技の内容を決めるために、1回1時間〜1時間半。
3 自分の許容量以上の進歩が起こると体調や症状が不安定になる事があります。
  ”好転の否定”いう状態で、一時的に症状が増える事があります。
  この時、症状出現の直前の記憶が消えている出来事を探る事により、
  早く不安定な状態から抜け出し、次の課題に取り組む事ができます。(1時間半)
やり方を覚えたら2、3がメインになってきます。(平均月1〜2回くらい)
また、ホームページの説明を読んできて頂く、事前にメールで解決したい内容をお知らせ頂くことによって、多少の時間の節約ができますので、問い合わせの際に質問して下さい。

症例

仕事中に上司に怒られ、鬱症状が出て休職中。
新しい上司に変わってから、特に酷い。
仕事の事を考えると憂鬱でしょうがない。
特に、上司に頼まれた仕事ができない。
なぜこんなに怒られるのかわからない。
今まで上司とうまくいったことがほとんどない。
Q:新しい上司頼まれた仕事以外で、手につかない仕事はありますか?
A:新しい上司に限らず、いくつも重なると全部できなくなります。
手につかなくなる仕事は新しい上司に頼まれたものだけではないことがわかります。
ここで、新しい上司に頼まれた仕事に“限って″進まないのであれば、上司との人間関係の幸福否定を調べることになります。
Q:仕事の指導以外で、新しい上司に不満はありますか?
  例えば、いじわるをされるような事とか・・・
A:それはないと思います。
Q:新しい上司の仕事のやり方だけ合わないという事ですか?
A:多分、そうだと思います。
Q:具体的にどういうやり方が合わない?
A:急がせるんです。あれも、これもやれと言う。
Q:具体的にどういう風にですか?
A:Aの仕事をやっているのに、Bの仕事を少し進めておいてくれ、と頼まれる。
  Aの仕事を終えるのに数日かかるのに、Bの仕事をやれと言われてもできない。
Q:上司は、AもBもその日のうちにやるように指示するのですか?
A:そうではなくて、例えばAの仕事を2時間やったら、Bの仕事を1時間やるように、と言われる。
  Bの仕事をやっていないと、なぜできないんだ、と怒られる。
Q:そうすると無理な分量ではないのではないでしょうか?
A:Aが終わらないので、無理な分量です。
Q:Aは終えなくても、いいのでは?
A:私はAが終わらないとBができません・・・。
この辺りでようやく患者さんの幸福否定(能力の発揮の否定)がわかってきました。
二つの作業を臨機応変に行うという事ができないのです。
聞くと、食事を作る時も一つのおかずを作ってから、次のおかずに取り掛かるため、数時間の時間をつかっています。
この場合は、二つの仕事に取り掛かる事が出来て嬉しい(具体的には、A,Bの仕事が共に半分終わっている状態、2種類のおかずを同時につくっている状態をイメージ)という感情の演技を行います。
感情の演技を行い”反応”がでれば、幸福否定がある事になるので、それを課題にします。
感情の演技を行い”反応”が出なければ、感情の演技が正確にできているかを再確認、または推測した原因が適当かを再検討します。
この患者様は、”二つの仕事に取り掛かる事ができて嬉しい”で反応が出ました。
原因は上司でもなく、仕事の分量でもなく、複数の案件を同時に進めるという事ができない、という事でした。
以前の上司の時には一定期間内に仕事を終えれば良かったので、一つを終えたら次、という形で仕事をすることが可能であり、症状が出なかったようです。
実際はここまでわかるのに、3時間(2回)ほどかかっていますが、原因が上司との人間関係ではなく、複数の作業の同時進行という事がわかった時点である程度症状は消えてしまいます。
但し、すぐに複数の作業の同時進行ができるようにはならないので、実際にできるように感情の演技を行っていきます。
本人が言う“今まで上司とうまくいったことがない”という事は、この場合はうつ症状の原因ではありません。
その証拠に、今までは嫌な思いをするだけでうつ症状は出ていません。
この場合のうつ症状の原因はあくまで仕事のやり方で、上司とうまくいかない事は別問題です。
先に仕事のやり方の問題を解決して、職場復帰をしてから上司との問題に取り組む、という順番になります。